喫茶分室

Shiga 2025

旧今津郵便局内の一角にあるatelier umiによるカフェである。

旧今津郵便局は1936年にアメリカから英語教師として来日したウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で建築された。42年間、地域の郵便局としての役目を終えたあと、倉庫として使われ、その後しばらく空き家になり老朽化が進むなか、2013年に建築家の大石義一氏を始め、地元有志の人々によって『ヴォーリズ今津郵便局の会』が立ち上がり、建物を補修しながら、人が利用することにより、保存していく活動がスタートし、後に登録有形文化財となった。土日祝日には自由に見学できるように開放し、時にはイベント会場などとして、当時の面影を多く残し大切に使われてきた背景がある。

建物に関わるようになったのは2022年くらいから。施設内の一角に「umi no hanare」というショップをつくり平日も建物を開放することに努めてきた。そんな中、もう少し訪れた人にゆっくり過ごして欲しいという思いから、次の展開としてカフェをつくることを提案した。

地方で人通りは限りなく少ない通りに飲食店をつくることには怖さもあったが、これまで以上に様々な方に訪れてもらい建物のことも知ってもらうきっかけになり、家賃を納めることで建物修繕費に充てれることを考え、最小限の施工費で最大限のパフォーマンスが出来るように考えて、オープンに至った。

時間の経過と共に趣のある風合いとなっていた築90年の内装や当時からの郵便分配棚はそのまま残した。新設した厨房カウンターはハタノワタル氏の柿渋和紙で既存部分と馴染ませている。
訪れる人によく触れてもらう家具は資産として考え、滋賀や岐阜の木工作家さんの椅子や、名作椅子などを配置。テーブルは造作で、矩形でもラウンドでもない、微妙なアールにすることで、隣座りでも少し体が相手に向くようになったり、向かい合って座っても違和感はなく、相席でも程よい距離の取れる作りとなっている。

地元の方々や遠方からもこの建物に訪れていただけることが増えたことを嬉しく思う。
これからも地域の拠点となるような場所に育てていきたい。

喫茶分室

テーブル鉄フレーム:HALO
テーブル左官:下原左官
和紙:ハタノワタル
神代杉カウンター・栗材棚:晴耕舎
椅子:WOHL HUTTE・RITON・Soubou craft・Hans J Wegner・Jean Prouvé
照明:PETER IVY FLOW LAB・MORE LIGHT・NEW LIGHT POTTERY