大きな屋根と小さな離れ

Tokyo 2016.06
周囲を住宅に囲まれた都市の中で、どのようなことが住み手にとってより豊かさを与えられるだろうか。
それは多様な居場所があることではないかと考えた。
この家は互いの気配を感じられ、緩やかにつながる大きなワンルームのような空間で、家族が集まる居場所、個人それぞれの居場所が点在する。構成としては1階はリビング、ダイニング、キッチン、夫婦の寝室と水廻り。2階は主に子供たちが遊び、学ぶ場所である。家に入るとすぐ家族や友人が集まるパブリックな空間があり、奥に行くにつれプライベートな空間となる。2階に階段で上がり、外に出てハシゴで降りてまた戻ってグルグル回れる作りになっている。北側に建つ住居の採光及び道路斜線制限を考慮した勾配のある大屋根が家族をおおらかに包む。キッチンやダイニングから少し見上げることで窓から空をつかまえるような計画とした。
空のリビングで子供が遊んだり、時には夫婦でコーヒーを飲んだり。
離れのリビングで家族が集まるのも良いし、一人で映画を見るのも良い。
外のリビングで読書をしたり、ガラス戸を開け放し内も外も取り込んだ大きな空間として多種多様な使い方ができる。自由な居場所がたくさんあることで豊かさを生み出す。
小さな離れをつくり、外を取り込み、大きな屋根を架けることでたくさんの心地よい居場所が生まれる空間となった。

所在地:東京都
用途:専用住宅
構造:木造
階数:地上2階建て
敷地面積:101㎡
建築面積:42㎡
延床面積:59㎡